排尿の悩み(排尿障害)
個人差はありますが、正常の方で1日のおっしこ回数は4~8回程度、1回の尿量は200ml~400ml(1日1ℓ~1.5ℓ)程度の量が平均的な量とされております。コーヒーやお茶、ビールなどの利尿作用の働きを持つ飲み物を摂取すると量も回数も多くなりますますが、日常的に排尿回数がや尿量が多い、又は少ない場合、日常生活の質を低下させる種々の排尿障害が考えられます。
頻尿(おしっこが近い)
尿が近い、尿の回数が多いという症状を頻尿といいます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。
尿量増による場合・・・糖尿病、尿崩症、腎不全など感染による刺激による場合・・・膀胱炎、前立腺炎など膀胱容量が少ない場合・・・膀胱炎、膀胱がん 反射性による場合・・・膀胱がん、膀胱結石、精神的なものなど膀胱外からの圧迫による場合・・・前立腺がん、子宮がん、直腸がんのなど
尿が近いといっても、原因は多彩で、また病気に関係することもあります。もし、明らかに水分を多く摂取しているようであれば、水分摂取の調節により、改善しますが、病気に関わるような場合は、原因を明らかにして、原因に応じた適切な治療や対処をする必要があります。原因が思いあたらない場合には、泌尿器科専門医を受診するとよいと思います。
尿失禁(尿が漏れる)
尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。実際に悩んでおられる方は実は大変に多いのですが、恥ずかしいので我慢している方がほとんどです。特に成人女性では約25%、つまり4人に1人は尿漏れの経験者です。尿失禁の種類は大きく分けて4つあるといわれています。
重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁。急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁。自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうのが溢流性尿失禁。排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる機能性尿失禁。
腹圧性尿失禁・・・加齢や出産による骨盤底筋群の緩みなど切迫性尿失禁・・・前立腺肥大症、膀胱瘤、子宮脱など溢流性尿失禁・・・前立腺肥大症、膀胱周囲の神経機能低下など機能性尿失禁・・・認知症やトイレ環境など
原因に応じてきちんとした治療法がありますので、恥ずかしがらずに泌尿器科専門医へ相談しましょう。
残尿感(尿が出にくいなどの不快感)
残尿感とは、おしっこをした後も、「尿が出きっていない感じ」、「尿が残っている感じ」があるという症状です。実際に尿が残っていることもありますし、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。
排尿後に残尿がある場合・・・前立腺肥大など残尿がないのに残尿感を感じる場合・・・膀胱炎、前立腺炎など例外・・・間質性膀胱炎、過活動膀胱炎、更年期障害
残尿感のみの場合であれば、この症状が良くなったり悪くなったりしながら最終的にはなくなってしまうというのが大部分ですので、過度に神経質にならない方がよいと思います。
症状が続くようであれば泌尿器科専門医を受診しましょう。
排尿時痛(おしっこをすると痛い)
排尿時に痛みを起こす最も一般的な病気は急性膀胱炎です。急性膀胱炎は、女性に多く、頻尿、血尿、排尿時の痛みが特徴的な症状です。多くは排尿の終わりごろに尿道に不快な痛みを感じます。特に問題となる基礎疾患がなくても、尿道から細菌が膀胱へ侵入することによって起こり、尿検査により炎症細胞(白血球)や細菌が認められますが、抗生剤治療あるいは無治療でも数日以内に完治することがほとんどです。高熱や倦怠感などの全身症状、背部痛などを伴う場合には腎盂腎炎を併発している可能性もあり、重症化するリスクも考えられます。
排尿時痛の原因・・・前立腺炎や尿道炎 尿道結石、間質性膀胱炎、膀胱や尿道の悪性腫瘍など
放置すると危険な場合もあるため、速やかに泌尿器科専門医へ相談しましょう。