尿の検査

正常な尿は、からだにいらなくなったもの、余分なものを水に溶かし出して排泄(はいせつ)するための重要な溶液です。したがって、尿の異常というのは、腎臓や尿路(尿が通る道)の異常を示すことになります。尿を検査すれば、腎臓や尿路の異常がわかります。

以下の症状がみられる場合は、速やかに尿の専門医(泌尿器科専門医)に受診する必要があります。

当院では尿の泌尿器科専門医として検査を実施し、尿の状態を分かり易く丁寧にご説明いたします。

たんぱく尿

たんぱくが含まれているたんぱく尿は、腎臓病のたしかな証拠になります。腎臓の糸球体や尿細管の膜構造が乱れて、本来は通してはいけない血液中のたんぱくが、もれ出るのが原因です。たんぱく尿が出る原因は、運動や発熱などの生理的な(健康な人でも見られることのある)ものを除外すると、次の3つに分類されます。

糸球体性・・・糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、膠原病、糖尿病性腎症など尿細管性・・・間質性腎炎、重金属中毒(水銀・カドミウムなど)、移植腎拒絶反応など溢流性・・・多発性骨髄腫、横紋筋融解症など

しかし、無害なたんぱく尿もありますので、たんぱく尿だからといって、腎臓病と断定的に考えるのは早計です。速やかに泌尿器科専門医を受診する必要があります。

血尿・潜血尿

血尿や潜血尿とは、尿に赤血球がまじるものです。血尿になる病気には、腎臓病のほかに、尿路の病気があります。
腎臓病の血尿と、尿路の病気によって出る血尿のおもなちがいは、腎臓病ならかなりの程度のたんぱく尿も出るのに対して、尿路の病気ならば、血尿がひどくても、たんぱく尿が出ることは少ないことです。
血尿には、肉眼でも血がまじっているとわかる肉眼的血尿と、肉眼ではわからない顕微鏡的血尿があります。
これは、含まれる赤血球の量によるもので、本質的なちがいはありません。しかし、尿路の病気による血尿には、肉眼的血尿がきわめて多いことは、注意する必要があります。

痛みを伴う血尿・・・尿路結石・膀胱炎など痛みを伴わない血尿・・・腎がん、腎盂がん尿管がん、膀胱がん、前立腺がんなどの悪性腫瘍など

血尿には様々な病気が考えられます。特に、注意が必要なのが、悪性腫瘍です。こうした悪性腫瘍は、高齢者に注意が必要ですが、若い人の場合は進行が早いので、早期発見が重要です。速やかに泌尿器科専門医を受診しましょう。

膿尿(尿が白濁している)

膿(うみ)とは、白血球が細菌と戦って、それらの死んだものによってできるので、膿のまじった膿尿は、細菌の含まれる細菌尿でもあることが多いです。膿が多くなると、白濁した尿としてみられます。

白濁した尿・・・膀胱炎、尿同炎、前立腺炎など

これらの病気を尿路感染症といいます。こうした尿を遠心沈殿器にかけると、細菌が検出されます。
細菌が見つからず、膿尿だけのものを無菌性膿尿といいますが、これは、抗菌薬を服用していたり、尿路結核のときにみられる現象です。速やかに泌尿器科専門医を受診しましょう。